第2章 ますますくりすます R18
「クリスマスパーティー?」
「うん。」
「さっき中佐に誘われたけど?」
「それがねぇ…。」
たまたま休憩で廊下を散歩していたところに、見知った背中を見つけて捕まえた。
コーヒーを奢るから。と無理やり捕まえてやった。
「一人で泊まりなのだよ。」
にっこりと笑って見せた。
「……だまされねぇぞ。騙されねぇんだからな!」
「なぁエドー。」
「知るかよ!」
急に決まった今日の夜勤。
もちろんしっかりと夜の予定は空けてあった。
家でエドやアル、ウィンリィさんや、ロイたちを呼んで盛大にクリスマスパーティーをする予定だったのだ。
「なぁ、エドー。僕一人はさみしいよぉ。」
「うぅうううう…うるせぇええ!」
コーヒーの缶を握りつぶして立ち上がるエドワード。
廊下を行きかう軍人たちが白い目を向けてくる。
「ずりぃじゃねぇかよー、一年に一度なんだぜ?クリスマス。あーぁ、エリシアと楽しみにしてたのに、一人夜勤なんてさー。」
じー。とエドワードを凝視する。
エドはやさしい。
だから、たぶん、パーティーを楽しみにしていた僕を見捨てることはしないだろう。
「あー……もう!わーったよ!夕食とケーキ持ってきてやるよ!」
「やったー!さっすがエドワード君!次の査定は期待していていいぞ!」
ばしばし!とエドワードの肩を叩いて残りの仕事を片付けに立ち上がる。
「じゃ、また、あとで。」
「へいへい。」
ため息しか出なかった先ほどと違って、軽い足取りで自分の執務室に戻ることができた。
犠牲者が増えた。
今日の仕事場の雰囲気といえば、予定が詰まっておりほくほくと仕事をしている人たちと、何も予定がなくつつがなくいつもの事のように仕事をこなし、予定のある人をにらむ人たち。
どこの部署もこんな感じだ。
もちろん僕は前者であった。
「お先に失礼しまーす!」
「お疲れ様。」
部下たちは意気揚々と引き上げていく。
人がいなくなり電気が消され、静まり返る監査司令部。
暗い司令部に小さな明かりをつけて、明日の分の仕事に手をつける。