第5章 ヴァージンロード~月の道~
『ご準備が整いました。参りましょう。』
会場スタッフの誘導で、
お二人は、ビーチから会場へと続く
外の扉に向かいます。
やがて、まっすぐ遠くに
会場の明かりが見えるあたりまで来た時。
暗い砂浜を背に、
ボードウォークで立ち止まったスタッフは
海の方を指差して…
『こちらが、本日、
お二人だけのヴァージンロードです。』
スタッフが指差した方向を見て
息を飲むアキ様。
『これは…』
凪の海に大きな満月がのぼり、
月の光が
島と島とを結びながら
海の上にまっすぐな道を作っています。
満月は、まるで二人を照らす
スポットライトのように眩しくて…
『アキ様、本日の特別なヴァージンロード
"月の道"でございます。』
『これって…偶然?たまたま?ですか?』
『新郎様が最初にこの会場を予約に来られた時、
この"月の道"をヴァージンロードに出来る日を
…と、ご指定されたんですよ。』
『蛍…』
『黙っておこうと思ってたのに。
バラしたらカッコ悪いでしょ。』
『バカ!こんなステキなこと、
知らなかったら意味ないし、後悔するじゃん!!』
アキ様の泣き笑いが
月の光に照らされます。