第19章 Marry me !!

出会いは、
ベタだけど、
夏の海だった。

きっかけも、
ベタだけど、
ナンパだった。

ナンパしたのは、
俺じゃない。

高校からの
…親友？悪友？
木兎光太郎。

俺と赤葦は、
いつものごとく、
そのお守り役。

光輝く太陽みたいな木兎と
静かに照らす月みたいな赤葦。

あまりに両極端なこの二人。

…女はだいたい
どっちかに惚れる。

俺？
俺は…どうだろ。

暑くも寒くもない、
明るくも暗くもない、
賑やかでも静かでもない。

よく言えばオールラウンド、
悪くいえば目立たない。

人呼んで『Mr.器用貧乏』(笑)


そのポジション、
俺は別に嫌いじゃない。

スゲーヤツらを
いっぱい見てきたから、

自分が
"スゲーやつ"じゃないことも
"個性がない"ことも

充分、知ってる。


普通、でいい。
３番目、いや、５番目でいい。

だから、エリは、
俺には一番
縁がない女だと思ってた。

だって
ビーチで、

キラッキラに光ってたんだぜ。

男はみんな、声をかけたくて、

でも、
こっぴどくフラれそうで

口笛吹きながら
通りすぎるのを見守るのが精一杯。

夏のビーチに一輪だけ咲いた
真っ赤なハイビスカスみたいな女が、



なんで、
俺なわけ？！