第15章 100回目のプロポーズ
いや、もう、この際、笑われてもいい。
それで?
『アキはどうなんだ?俺のこと、まだ好きか?』
…と、聞けない俺…
弱っ!
俺様なオレはどーしちまったんだ?
ダメだ、やっぱり、
アキの前だとペースが乱れる…
気持ちの乱高下が激しい。
ただ話してるだけなのに、
なんだ、この心拍数…
と、その時。
『ジャンジャン♪』
アキが突然、
効果音らしきものを口にした。
何だ?
『ここで、トビオ君にクイズです。』
…ク、クイズ?
『問題。私は今でもトビオ君が好きでしょうか?』
…え?なんだ、それ…
いろいろ予想外で、言葉が出ない。
『ヒントは、こちら!』
…アキが、自分のメガネと三つ編みを
触りながら、チッチッチッチッと
秒針の音を真似ている。
『さぁ、残り5秒!トビオ君、答えは?』
…罠、とかじゃねーよな?
言うぞ?
これでハズレてたら、俺、
当分、立ち直れねーぞ?!…
"ピンポーン!"
…あ…思わず俺まで、
効果音、言ってしまった。
しかも、ボタンを押すリアクションまで。
と、とてつもなく、恥ずかしいじゃねーか!
あ、それより、答えだ答え。
とりあえず、答え、言わねーと!
クッソー、これじゃ完全に
アキのペースだ…
『アキは…今でも、俺のことが…好きだ!』
『トビオ君、ファイナルアンサー?』
『おぅ、ファイナルアンサー。』
『さて、トビオ君の出した答えは…』
…どうなんだ?
俺の答えは、どうなんだっ??
なんだよ、このドキドキ感。
クイズだからか?!
いたずらっぽく笑うアキの口許。
『ピンポンピンポン、正解で~す!』
アキ?
アキ?!
アキ!!
抱き締めようと伸ばした俺の両手を
スルリと抜けて、
アキは、さらに言葉を続けた。
『見事正解したトビオ君には、
こちらへ行く権利が与えられました!』