第15章 100回目のプロポーズ
あの日から
一度もアキに会うことなく、
俺は、上京した。
大学では、
とにかくバレーに打ち込んだ。
バレー以外、やりたいことはなかった。
アキを手放してまでここに来たからには、
一歩でも、一日でも早く
自分の描いた夢や目標に
たどり着きたかった。
その分、結果はついてきた。
インカレでも優勝したし、
日本代表にも入れた。
(ただ、ここには及川さんという
恐るべき先輩がいるから、
悔しいけど、
簡単にレギュラーとはいかない。)
努力で変えられることのためなら
どんな努力でもしてきた。
変えられないのは、人の心だ。
…心の穴は、埋まっていない。
埋める努力はしてきた。
でも、思うように、いかない。