第13章 嫁ぎの紅(べに)
目の前のプレーは、
多分、1秒もかかっていない。
でも、私の目には
スローモーションのように
はっきりと見えた。
日向君は、鳥になった。
背中に、大きな翼を持った鳥。
…あの、
縁下君のガーデンパーティーの時の"鳥"は
日向君だったんだ…
それから試合が終わるまで、
私の目には、日向君しか見えなかった。
こんなに誰かを見つめたのは、初めて。
普通に暮らしてきた私の平凡な人生の中で、
プロ選手達の輝きは初めて見る眩しさで…
そんな"特別な才能"が集まる中、
日向君は、さらに光って見える。
…なんだか、遠い世界の人、だ…