第12章 1年後のガーデンパーティー
ほんの少し、彼女に変化が現れたのは
話が長引き、
終電を逃してしまった時のことだった。
車で家まで送る、という俺を
頑固に断る雪乃さん。
『家まで送ってもらうなんて…結構です。』
『じゃ、どうやって帰るんですか。
歩きじゃ無理でしょ?まさかタクシー?
いくらかかると思ってるんですか?』
『…でも、男の人と車で二人きりなんて、』
『わかりました、わかりましたよ。
じゃ、雪乃さん、
助手席じゃなくて後ろに乗って下さい。
窓も開けてていいです。
何かあったら、叫べばいい。
それならいいでしょ?!』
…俺って、全然信頼されてないんだな…
そんなことを思いながら車を走らせる。
ずっと黙っていた雪乃さんが、
消え入りそうな小さな声で
ボソッと話しかけてきた。
『あの…
不愉快な思いさせてたらごめんなさい。
私、男の人とか苦手で…
アキに何か聞きましたか?』
『何か、って?』
『私の、昔のこと…』
『幼馴染み、なんでしょ。』
…ウソをついた。
でも、これは必要なウソだと許してほしい。
彼女の過去は、
彼女の口から聴くのが
一番、正しいだろ…