第9章 和婚式
~花巻と松川の結婚を祝った及川が
東京に帰る日。
仕事の都合で来れない二人にかわって
仙台駅まで、俺が見送りに来た。
『俺もマッキーもまっつんも結婚したし、
あとは、岩ちゃんだけだね。』
『俺が最後になるとは思わなかった。』
『岩ちゃん、真面目すぎるからさ。
恋愛とか結婚とかって、勢いも必要だよ。』
『勢いしかないお前に言われたくねぇ。』
『まぁまぁ、ヤキモチ妬かないで。
俺とまっつんが年上女房でしょ、
マッキーは、同級生。
となると、岩ちゃんにはぜひ、
う~んと年下と結婚してもらいたいなっ。』
『消去法で、人の結婚相手、決めんな。』
『その時は、早めに教えてよ。
岩ちゃんの結婚式には、絶対出席しなくっちゃ。』
『出来れば呼びたくねーけど。』
『何でだよ~、俺たち親友じゃん!』
『あることないこと言いふらして
せっかくの祝いの場を
めちゃめちゃにされそうだ。』
『岩ちゃんの過去を
俺ほど知ってる人はいないもんね~っ。』
『マジで、こえーわ…』
『あ、でも俺が来ちゃうと、
岩ちゃんより俺が主役になっちゃう
可能性はあるかもねっ。
女の子達はみんな、俺とばっかり
写真とりたがっちゃうかも~。』
『否定できねーとこがムカつく…』
新幹線が到着した。
『ね、岩ちゃん、
冗談はさておき、そろそろホントに
ハッピーニュース、待ってるよん。』
『俺のことより、
お前こそ遊びはそこそこにして、
奥さん、大事にしろよ!』
及川が乗った新幹線が
見えなくなるまで、見送る。
『恋愛や結婚には勢いが必要』
『うーんと年下』
…及川のヤツ、
へんな言葉、置き土産にしやがって。
胸がざわつくじゃねーか。
見透かされてるみたいで、気持ちわりぃ。
いや、
案外、何か感じてるのかもな。
あいつは昔から、
人の心の動きをよむのが
得意なヤツだから…~