第27章 ウェディングプランナー
子供を産んで、思う。
この時期、九州にいられたのは
却ってラッキーだったのではないか、と。
初めての育児が
これだけわからないことだらけ、
これだけクタクタになるものだとは
想像以上のことで、
そんな時、
一番の助けになってくれたのは
黒尾さん…じゃなくて(笑)
実家の母だった。
母は
"暇だからいいの。
お父さんの顔も海も山ももう見飽きたから、
たまには都会とイケメンと孫の顔で
リフレッシュさせて~"と、
父を放り出し(笑)
"バスだと遠い!"と
飛行機でひとっとび、やってきて
しばらくの間、子育てを手伝ってくれた。
…実家にいるときは、正直、
口うるさい人だと思っていたけど、
今となってみると、
これほど心強い味方はいない。
黒尾さんはあの性格だから
うちの母ともすぐに仲良くなり、
授乳中で飲めない私の代わりに
母を相手に晩酌したりして楽しそうだ。
…子供が一人、生まれることで
周囲の人間関係がこんなに変わる、
というのも大発見だったし、
世の中の見え方がこんなに変わる、
というのも、
体験してみて初めてわかった。
そして、
どこかの誰かの旦那さん(笑)の
言葉じゃないけど…
娘が産まれてから、黒尾さんは
"真っ直ぐ家に帰るおりこうさん"
…になった。
(本人いわく、今までだって充分に
おりこうさんだったらしいけど 笑)
もうお互い、口にすることもないけど
きっと娘が産まれたことで、
改めて黒尾さんの中で、
過去の清算がきちんと出来たんだと思う。
私たちは、変わる。
変われる。
いくつになっても。
本当に大事なことを
きちんと心の真ん中において、
変わることを恐れず。
変わることを受け入れて。
変わることで進む。
やってくる変化を
いつでも本気で受け止める、
そんな覚悟があれば。
…そうやって
必死に、
そして慌ただしく毎日が過ぎていく中で、
夜久君から電話がかかってきたのは、
娘が一歳を過ぎ、
そろそろ冬の気配を感じ始めた頃…
もう私自身、
自分がウェディングプランナーだったことなど
思い出すこともなくなっていた、
そんな頃のことだった。