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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



…まだらで複雑な影がおちる、公園の歩道。

駅とは逆の方向に、
ひたすら真っ直ぐ、歩いた。

寄り道なんて、するあて、ない。
でも、これ以上、
黒尾さんと一緒にいるのは辛かったから
『寄り道する』って嘘をついた。

"ノコリモノ"

自分のことをそう言った私。
話の流れ次第では
抱かれてもいいと思った。

誰のものでもない体。
誰と寝たって文句言う人なんかいないし、

一生、独身で居続けるとしたら、
…たまには誰かに触ってもらわないと…
アッという間に干からびてしまう。

それなのに。
黒尾さんは、自分から誘っておきながら、

『ノコリモノなんて言うな』
『気持ちが弱ってる時は一人になるな』

そんなキレイゴトを言って、
その場をおさめた。

…私に言わせれば、逃げた。



誘われて、
どうぞ、って言ったのに
断られる、って。

自分の
女としての価値の低さを
見せつけられたようで、悔しい。

もう会いたくない、と思う気持ちと、
もう一回くらい会って、誘われたい、
と思う気持ちが揺れていて…

黒尾さんの顔を、思い出してみる。

気のせいだろうか。
"ノコリモノ"と言った私に
返事を考えているときの黒尾さんは
すごく、真剣な顔で答えを探してた。

私を傷つけないように、というより、

私の気持ちをわかった上で、
簡単な言葉は言えない、と思ったような
そんな、顔。

私が支払いをしてる時、
外にいた黒尾さんは
飲んだあとの酔った顔、ではなかった、
誰かのことを思い出してるみたいな。


…私が相手じゃ、
つまんなかったかな。

結婚はしてなくても、
女性には不自由してなさそうだし。

電話番号の教えかただって、
すごく、慣れてた。
自分が一方的に教えた、
みたいにして
女性のプライドを守ってくれてる。


あぁ、もうっ。
こういうこと考える自分がイヤだ。
これはただの性欲だと思いたい。

黒尾さんが気になってるわけじゃなくて
体が、寂しがってるだけなんだ、って。



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