第27章 ウェディングプランナー
高校時代の仲間が
次々と結婚していく。
最初は、福永だった。
その披露宴の時、
夜っ久んと夏希が復縁したことを知る。
よかったじゃん。
ところがこの二人、
相変わらず…というか
より一層…というか
言いたいことを言い合っては
ケンカするのが好きな二人(笑)で、
なぜか、そのケンカの仲裁を
俺がさせられる。
しかも夜っ久んは、
真面目で誠実で正直だ。
何気なく俺にいう至って真っ当な言葉が、
イチイチ俺の胸の傷をえぐっている、
ということを、彼は、知らない。
『クロは、結婚考えたこと、ねーの?』
夜っ久んにそう訊かれた。
…考えたこと?
ある。
自分が結婚したい、というより
トーコがもし、旦那より先に
俺と出会っていたとしたら、
俺達は結婚していただろうか?と。
トーコには、そんな質問、しなかった。
訊いたって、意味がない。
『クロが結婚する時には、
俺が恩返しするから!』
夜っ久んがそう言ってくれた。
…"世界一、キレイにしてやって
サプライズもいっぱいして、
泣かせてやろーっと。"
そうやって返事しながら
思い浮かべていたのはトーコだった。
…俺がトーコにしてやれることは
ひとつも、ない。
『クロと付き合う女は幸せだな。』
夜っ久んに、そう言われた。
…これは、痛かった。
トーコを幸せにすんのは、俺じゃねぇ。
普通の声で返事するのが精一杯で。
思わず、本音が出た。
"結局、最後に選んでもらえるのは
一人だけ、だからな。"
…心のなかで、改めて
自分の立場を思い知る。
俺は、
選ばれなかった方の男、だ。
夜っ久んを始め、
次々と結婚していく仲間たち。
みんな、一見、クセはあるけど
中身は素直でまっすぐなヤツらだ。
自分にぴったりの相手を
よく探してくるよな…
幸せそうな彼らの顔を見るたび、
心から、
オメデトウ、
二人で幸せになれよ、と思う。
そして、それと同時に
俺はどうなんだろ、という
気持ちがよぎり、
そして
胸の中の扉が、閉まる音がする。