第27章 ウェディングプランナー
職場の同僚の夜久君が
高校時代の彼女と再会した日、
…ファッションショーの
リハーサルをしていたあの日…
実は私、誕生日だった。
誰にも言ってないけど。
特に予定もない、フツーの1日。
だから、リハーサルのあと、
夜久君と夏希ちゃんと食事に行けたのが
ちょっと嬉しくて。
(もちろん彼らは
自分達のことで頭がいっぱいだったし、
私も誕生日のことなんか言わないけど。)
誕生日やクリスマスはもちろん、
普通の休みの日も、
一人で過ごすのは割と平気。
…てか、前の彼氏と別れて二年もたてば、
もう、慣れたっていうか(笑)
私、
恋愛に向いてない気がするんだよね…
仕事でたくさんのカップルを見てるから
ますます、そう思う。
出会いは、種。
"種"を見つけて、
適度に、優しさという名の水をやり、
適度に、陽に当てるように思い出を重ね、
適度に、肥料をやるように夢を共有して
適度に、影や嵐のようなピンチを越える、
"種"を育てるには
そんな人間力が必要で。
それで初めて恋愛という花が咲き、
花を散らすことなく季節を越えて
やっと結婚という実を結ぶ。
その"適度"が、私は、多分、下手。
与えすぎちゃって腐らせるか、
やらなさすぎて枯れちゃうか。
それが私の恋愛下手の理由みたい。
出会いの"種"を見つけても、
甘え下手。
仕事も不規則。
自分の意見を言い過ぎたり、
逆に遠慮して言えなさ過ぎたり。
…つまりは
"可愛くない女"ってこと(笑)
もう、
自分が誰かと一緒に
生きていく未来を考える時間が
無駄にさえ思えるようになってきた。
私には、大好きな仕事もあるしね。
ただひとつ、相変わらず申し訳ないのは
私の将来を心配し続けてる田舎の両親。
最近では、たまに帰省しても、
変に気を遣ってるのか、
結婚の話を持ち出さなくなってきてて、
それはそれで寂しくなくはない(笑)
ウェディングプランナーという
職業の私が言うのもなんだけど、
こういう生き方を選ぶ人間がいたって
いいよね?