第30章 甘い誘惑にご用心【甘裏】*ルイ*
ふっと目を覚ますとカーテンからほのかに朝日が差し込んでいた。
昨日のような身体の昂りは無くなって、柔らかな温もりだけが感じられた。
一糸纏わぬ姿で眠りについてしまったことは気恥ずかしかったけれど、隣を見ると同じく肌をあらわにして寝息を立てるルイの姿があった。
眠りを妨げないようにそっとその胸へと寄り添ったのに、ルイは私に気付いて抱き寄せてくれた。
「…ルイ、起きた?」
おずおずと見上げれば、ルイは寝ぼけ眼を擦って私に視線を向けた。
「ん…。おはよう、。」
ルイは軽く私の額にキスをして、腕の中に私を閉じ込めた。
「おはよ…。」
お互いの姿を見て、昨夜の事を思い出し、私の頬はみるみるうちに真っ赤に染まった。
そんな私の顔を見て、ルイは余裕を含んだ笑みを見せた。
「身体の具合はどう?」
「もう大丈夫みたい。…シドからもらったもの、今度から食べないようにしなくちゃ。」
唇を尖らせる私に対して、ルイは眉を寄せて複雑そうな表情を浮かべていた。
「…どうしたの?」
「…シドが関わってると思うと腑に落ちない。だって、昨日の積極的なも可愛かったから…。」
「からかわないでっ!」
ルイはごめんね、なんて言って私の頭を撫でてくれた。
薬なんか無くても、ルイに触れられるとドキドキして嬉しくなる。
恥ずかしい姿を晒しても、可愛いだなんて言ってもらえるのなら、たまにはいいのかなって思ってしまう。
それでもやっぱり、甘い誘惑にはご用心。