第15章 「おかえり」が待ってる*アラン*
翌朝、まだ眠っているを横目に着替えを済ませ、一度自室に戻ることにした。
昨日の夜の姿のまま素肌の肩が露になっていたので、そっとシーツをかけた。
「…行ってくる。」
眠る姫の額に口づけをし、扉へと向かおうとした時。
「…アラン。」
半分寝ぼけ眼のがそっと俺の服の裾を掴んでいた。
「悪い。起こしちまったか?まだ早いから寝てろ。」
頭を撫でると嬉しそうな笑みを浮かべ、シーツで自分の身体を隠しながらベッドから身体をゆっくりと起こした。
そして枕元にかけてあったガウンを羽織り、目を擦りながら口を開いた。
「いってらっしゃい、って言って送り出したいの。…だからね、必ず帰ってきてね。」
時折見せる瞳の揺らぎは、必ずと言っていいほど護衛として離れた場所へ行く時や戦になる恐れが少しでもある護衛の時だった。
「アランなら大丈夫って信じてるけど、やっぱり離れると少しだけ恐い。帰ってこなかったらどうしよう…って思いが過るの。」
がそんな心の闇を溢したこともあった。
だから必ず約束する。
「当たり前だろ。絶対帰ってくるから、ちゃんと出迎えろよ。」
「うん、わかった。…行ってらっしゃい。」
「行ってくる。」
唇に軽くキスを落とし、はにかみながら笑顔で手を振るに一度手を体の前で上げて部屋を出た。
あいつを置いて死ぬわけには行かない。
「おかえり」が待ってるから。