第6章 落ちる【沖田視点】
数分して袋片手に大石が戻って来た
「ちゃんと1本はタバスコつけてもらってんだろーな?」
『んなわけないでしょ!タバスコなんかついたの副長にあげたりしたら怒られますよ』
「俺は心配いらねーや、お前が買って来たんだから」
『罪を人に擦り付けないで下さい!』
チッ、使えねーなァ…。
「ま、いいや。とっとと帰るぜィ」
そう言って歩こうとしたとき再び灰色の空がピカッと光った
『…!』
数秒して空が唸る
「…オイ」
『…』
反応のない大石に目を向けると俺の袴の袖をぎゅっと掴んだまま俯いていた
「オイ…何してんでィ」
『あ!す、すいません!!』
慌てて手を離す大石を不審な目で見つめる
こいつ…まさか
「お前…何ビビってんでィ」
『え?な、何もビビってないですよ!?急にどうしたんで…』
ゴロロロッ
言いかけた瞬間、再び雷の音が鳴る
『ヒッ!』
…ひ?
刀に手を添えながら肩を震わす彼女を見て目を見開いた
こいつ雷が…怖いのか?
確か少し前に虫が嫌いとかなんとか言ってた気はするが…
まさか雷が怖いとは…意外だ。
雷が光って鳴る度に俺の袖を掴む大石に不覚にも心が揺らいだのを気のせいだと必死に自分に言い聞かせた