第6章 落ちる【沖田視点】
大石は溜息をついて俺にコンビニの袋を渡すと1人でさっさと歩き始めた
その後ろを追いかける
「おい、濡れるぜィ」
『いいですよ、もうどうせ濡れてますから』
「とか言いつつ、震えてんじゃねーか」
『違います!これ震えるの私の癖で…』
「へー初めて聞いた」
肩を擦りながら歩く大石を呆れ顔で見つめながら言った
「沖田隊長の下僕になりたいですって言や今なら特別に相合い傘してやらねーこともねェぜ」
『遠慮します!』
早歩きでどんどん先を行く大石の背中を見つめ溜息をついた
「可愛くねェ」
そう呟いて歩き出そうとした時
「ねぇねぇお兄ちゃん」
1人の子供に袴の袖を引っ張られた
「どうしたんでィ」
「お兄ちゃんもあのお姉ちゃんと同じおまわりさん?」
そう大石を指差す子供を見つめる
「あぁ、あのお姉ちゃんより偉いお巡りさんでィ」
「あのね、お姉ちゃん僕にこの傘くれたんだ… だからお兄ちゃんもお姉ちゃんに傘を半分こしてあげて」
そう言った目の前の子供が手に持っていたのは紛れもなく大石の傘だった
「…」
- なくなってました! -
本当に…。
大石の傍まで行き彼女の上にそっと傘を傾けた
「ん…」
『!』
「…入れてやらァ」
バカな奴。