第19章 約束は早くしたもん勝ち
結局その後は私と銀さんを店から摘み出すという杏子ちゃんの機転により事は収められた
「ったく…酷ェ目にあったぜ」
『もう、銀さんのせいで私まであの店出禁になるところだったじゃないですか!』
「いやお前も後半暴れてたよね?自ら不祥事起こそうとしてたよね?」
銀さんの言葉に何も返す事が出来なかった
「いやぁ…にしても助かったぜ。どうもな…えっと…あれ?てか何その子」
そう言って杏子ちゃんを見つめる銀さんに彼女はニコッと微笑んだ
「ついこの間から真選組に入隊しました、倉本杏子です。」
「へェ~真選組っていつの間に女もアリになったわけ?ぜひ土方くんに説明していただきたいね」
『でも杏子ちゃんは副長達に認められる程の剣の腕だし、女の子なのにウチの隊士ほとんど倒したんだよ!…すごいでしょ?』
「いや、それはそれでお前らの組織がどうよ…」
『それに…私に出来た初めての後輩だから…凄く嬉しいんだ』
銀さんは私を見つめ頭を搔きながら言った
「ふーん、まぁいいんじゃない?俺餡子好きだし」
『餡子?』
「あの…餡子じゃなくて、杏子です」
「おっけー、あずきちゃんね」
ブチッと何かが切れる音がしたかと思うと突然杏子ちゃんに腕を引っ張られた
「ちょっと結衣さん、何なんですかあの銀髪の人!死んだ魚みたいな目してるくせに言うこと凄く腹立つんですけど!!」
『…彼は坂田銀時、通称銀さん。万事屋っていう何でも屋をやっていて私の幼い頃からの知り合いなの。…ちなみに沖田隊長程じゃないけど銀さんもまぁまぁのSだから気をつけてね』
銀さんに聞こえないようヒソヒソ話をしていると突然私の肩が掴まれ強制的に銀さんの方へ向かされる形になった
『き、聞こえました?』
「いや全然、別に俺がSだから気をつけろなんて聞いちゃいねーよ」
いやしっかり聞こえてたじゃん!!
「えーと、杏子ちゃんだっけ?アンタの上司は今からこの銀さんのお説教を食らうことになったから先に帰っててもらえる?」
「…わかりました」
『え、待っ!行かないで杏子ちゃんんんん!!』
私の叫びも虚しく杏子ちゃんは笑顔ひとつ残してその場を去って行った
『……』
「いい後輩を持ったな」
『泣いていい?』