第14章 旅のお供には信頼出来る奴を置け【帰省編①】
『あの…もう昼過ぎてますよ?』
「…」
いつもなら無理にでも起こすところだけど、今日は何だか怒る気にもなれない
『沖田隊長…私、話したいことが…』
言いながらそっと布団を捲った瞬間、私は目を見開いた
『あ…』
眠る沖田隊長の頭には包帯が巻かれ頬には複数の切り傷があった
私…最低だ。
私のせいで…沖田隊長がこんな目に。
『…なさい…』
どうして…
『ごめん…なさいッ』
私はいつも大切な人を傷付けてしまうのだろう。
俯いて眠る沖田隊長の手をぎゅっと握り締めた
私はただ…護りたいだけなのに…。
- また犠牲を出すつもりか -
いや、これが…答えなのかもしれない。
私がここにいるから、誰かが傷つくんだ。
静かに寝息を立てる沖田隊長を見つめ私はそっと口を開いた
『沖田隊長…私、昨日父上と話したんです…。やっぱり私を連れ戻しに来たみたい…
私…小さい頃から大石家が嫌いだったんです…。お金や権力に溺れる父の背中を見るのが嫌で病弱な母を残し私は家を飛び出した…。もう未練なんてないと思ってたのに…父上に会ってまた母上のことを思い出しました』
『父上のしていることは全てが正しいとは思わないけど…それが家族の為だったならば…私も父上と同じ事をしていたのかもしれない』
自分にとって大切な者を護る…結局はそうだ。
私だって…父上のしていることと変わらない。
目の前の…大切なものを護ることに必死で肝心なものを見落としている。
『私…父上に言われて気づいたんです。自分にとって何が一番大切なのか…』
私は…同じ事を繰り返してはいけない。
『私は大石家の人間で、財閥の娘…。私の役目は護られているだけ…』
そう、初めから…
- ウチに来い結衣 -
外の世界なんて知らなければ良かったんだ。
じわっと目頭が熱くなるのを抑えながら必死に笑顔を作った
『元々人を護るなんて柄じゃなかったんですよきっと!…それでも…』
- 大石!相変わらず女子力ねーなっ -
- 大石さん!抜け駆けは駄目っすよ! -
- 結衣ちゃん! -
- 結衣… -
『みんなと…いた時間は…』
- メス豚ァ、寝癖ついてるぜィ -
『決して…無駄なんかじゃなかったと…っ』