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短編集…あんさんぶるスターズ!【あんスタ】

第53章 待ってるのに!! 逆先夏目


「別に………言わないだけで……夏目くんのことは……ちゃんと…………………………………………好きです」


それじゃあ、と背を向けて去ろうとした。が、夏目くんは速かった。


「待っテ」

「あ、先生から呼ばれていたー」

「棒読みがすぎるヨ」


腕を捕まれたまま硬直した。やばい……こんな顔見られたら恥ずかしさでどうにかなる。

こういうの、ほんっと私には向いてない。


「……………………………そんな可愛いこと言われたら離したくなるなル」

「………………………………………」


だからって、私の腕の………ブレザーのすそをちょんとつまむのは………………

可愛いって……………それ夏目くんのことだよ………?


「夏目くん」

「………………な二?」

「ちなみに、渉は私のいとこのお兄さんってだけだからね。」

「…………………わかっタ、ごめン」


少し、私より背の高い彼。男子にしては平均か……。


「許して」


違和感のない話し方が、違和感を産み出した。ポフン、と空気の抜ける音がして私の背中に重さが加わった。


「……………………許して」


夏目くんは再びそう行った。私の腕のブレザーから手を離して、今度は腰に手が回ってきた。


「……………………………………………あすなろ抱き」

「バックハグ」


夏目くんの腕の力が強くなる。心なしか私の背中に埋まった顔からくぐもった笑い声が聞こえてくる気がした。


「あすなろ抱きっテ、この前………マミィが言ってタ、僕らが産まれる前のドラマのやつだヨ………ッフ、ふふふフ………ッ!!!!」

「あすなろは良いよ………漫画貸してあげようか……?」

「是非……………ッふハ…ッ!!」


最後にはこらえきれなくなったのか思い切り吹き出した。
彼が笑う度に背中にぐりぐりと頭が押し付けられるようで痛い。

でも、結局私も笑った。


秘密の地下室の、秘密の会話。



私と夏目くんだけの、二人の笑い声。

まだ君のことはよくわからないし、私の気持ちも上手く伝えられないけれど。


なかなか、付き合うだけでその先へ進展しない仲だけど……。



こんな風に笑いあって、ふざけあって




時間が過ぎていくのも、悪くないんじゃない?
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