第2章 初恋日
それは、ちょうど 1週間前の事でした。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが今日の授業の終わりを慌ただしく告げた。
「ねぇ。亜美」
私は、友達の亜美に話しかけていた。
亜美は すごい高さで結んだツインテールを揺らして振り向いた。
「ん?なに?」
「私……。好きな人できたかも」
「え!?マジ!??」
「うん…」
ホントはもっと前に気づいていた事だった。
前から自然に智也に視線が行くようになっていたから、『もしかして恋なのでは!?』みたいな気持ちはあった。
でも、智也は超モテるし。
私みたいに ほぼ毎日ケンカしてる人を好きになってくれるとは限らなかった。
「…。智也くんだね?」
「な、なぜ それを!??」
「いや〜~。なんとなく分かるよ。前まで大丈夫だったくせに、智也くんと話すと 顔が赤くなってるもん」
亜美は 全てお見通しなのよ? みたいな顔をしてみせる。
「亜美は良いもーん。桜来とラブラブだし。別れるかな?なんて思ったことないんでしょーから!!」
「それくらい、心配したことあるわよ!でも、やっぱり彼氏いると安心するよ〜~。…………あ!でも、華乃の場合は心配だよねー。智也くん、超モテるしね」
「うー!それ言うなーっ」
そう、亜美は彼氏持ちなんです。
亜美の彼氏は、至ってシンプルで特に どうってことない人。
亜美にとっては『カッコよくて、優しくて、面白くて、最高で……♡』と喋らせると大変な事になるみたいだけど。