第12章 個人情報は何処からか流出する。
その夜、とある屋形船にて、戦に負けた河上万斉と、過激派攘夷志士、鬼兵隊総督の高杉晋助が密談を行っていた。一通りの報告を終えた万斉は、高杉のいる部屋から出る。
河上「奴らの歌に聞きほれた拙者の負けでござる。」
高杉「フン。」
万斉が部屋を出たところに、あの男が立っていた。葵咲の目の前に現れた、謎の男だ。
謎の男「よ~ぉ!えらく派手にやられたもんだなァ。」
河上「!」
謎の男「なァ。二人で何話してたの?」
男は万斉の方へと歩み寄り、万斉の肩に自分の腕を乗せて顔を近づける。
河上「・・・・・。」
謎の男「なになに?気になるなァ~。俺も混ぜてよ。もしや女の話?好きな女でも出来たとか!」
河上「そんな浮ついた話ではござらん。」
謎の男「なんだぁ。つまんねぇ~なァ~。」
男の言葉を聞くやいなや、万斉は男の腕を肩から振り払い、去っていった。
謎の男「あっ。おい。」
万斉の後ろ姿を冷たい目で見送る謎の男。
謎の男「・・・・・。」
そして、顎に手をやり、薄い笑みを浮かべながら心の中で呟いた。
(謎の男:この様子じゃ、あの女とは接触してなさそうだな。しばらく黙っとくかァ~。クスクス。)
≪次章からはまた、完全オリジナルになります。≫