第12章 個人情報は何処からか流出する。
謎の男から『自分の事をよく知る者』の名を聞かされた葵咲は、みるみる顔が青ざめていく。
葵咲「・・・・・っ。」
謎の男「アハハッ。いいねぇ~その表情!クスクス。鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔ってゆーの?」
謎の男は葵咲の表情を見てケラケラと笑う。
謎の男「ああ、安心してよ。アンタがここに居ること、あいつはまだ知らないからサ。」
葵咲「!」
謎の男「残念ながら、今回の一件は、アンタの為に開いたパーティーじゃあないしね~。純粋に真選組を潰す為…。」
葵咲は不適な笑みを浮かべる謎の男から目が離せないでいる。瞬きもせずに男の目を見据えていた。すると男は顎を上げ、葵咲を見下すように見て、自分の左手人差し指をこめかみのあたりに当てながら言った。
謎の男「本当は俺、このパーティには不参戦の予定だったんだけど、俺の中のアンテナがね~、行っとけ~っつーわけよ。そしたら~来てみて正解☆まさかアンタに出逢えるなんてねェ~♪俺、そういう勘は結構鋭い方なんだァ。」
葵咲「・・・・・。」
男は今度は腕組みをし、右手人差し指を自分の口元に当てながら言った。
謎の男「一度アンタに逢ってみたかったんだよねぇ~。あいつが血眼になって探してる女がどんな女なのか、ってね。」
葵咲「・・・・・っ!!」
葵咲の顔は青ざめたまま、刀を持っている手に力が入る。
謎の男「確かに結構強いみたいだし、まぁまぁイイ女だとは思うけど、俺のタイプではないかな~。まっ、そういうことだから。じゃあね~。」
そう言って謎の男は踵を返して自分の乗ってきたバイクへと向かう。
葵咲「えっ。ちょっ!」
謎の男「さっきも言ったけど今やり合うつもりはないから。あっ、あと。優しい俺だから一応敵ながら忠告しとくけどォ~やっぱ情報収集は怠らない方がいいよ?追われてるなら尚更。少なくともその方面にはアンテナ張っとくべきだと俺は思うけどねェ~。じゃあね~。」
男は笑みを浮かべて、バイクに乗って去って行った。
葵咲「・・・・・。」
葵咲は刀を強く握ったまま下を向き、呆然と立ち尽くしていた。