第59章 【王者の恩返し】 その6
最後にこの後の縁下家を覗いてみることにする。
「美沙、どうした。急に抱きついたかと思ったら随分スリスリして。」
「牛島さんのおかげでご飯は美味しくいっぱいいただけたけど。」
「そうだな、お前と一緒にボケ倒してた感もあるけど。」
「やっぱり及川さんに勝手に抱っこされるんイヤあ。」
「ああ、そうだな。でも普通の子なら喜ぶとこだけど。」
「ちゃうもん、及川さんにはお世話になってるけどそれとこれはちゃうもん。私は兄さん以外はイヤやもん。知っとる癖に兄さんのドSー、意地悪ー。」
「甘えたを我慢させすぎたか。」
ふええええんと普段は出さないひどく情けない声を上げる義妹をなでてやりながら力は呟くのだった。
【王者の恩返し その6】 終わり