第45章 【王者の命】その5
日向は抗議するが勿論美沙は聞くつもりがない。
「やっかましーっ、ボタン付けだけに飽き足らずシャツに穴空いた縫うてくれとか資料探したいけど字がようわからんから図書室一緒についてきてとか音駒の研磨さんがメールでよこしてきた中身がわからんから解読してくれとか、突っ込みしかあらへんわっ。ほら、赤倉君もわろてるんやんっ。」
「あんまりだっ。」
「あんまりも何もあるかいなっ、あんた中学からの友達も多いやろ何で私やのっ。」
「だってそういう時ってみんな断るから美沙しかいねーもんっ。」
「そらそうやわなぁっ、あんたは阿呆かっ。」
「阿呆って言うなっ。」
「こっちはニュアンスが逆なだけで馬鹿かて一緒やろっ。」
「そーだけどっ。」
寒河江と赤倉は笑い転げ、日向は叫び、その間にカシャッという小さな音が響く。
DVDへの書き込みが終わってパソコンに繋がれていたドライブから自動でディスクトレイが排出されていた。
なおこの間義兄の力は木下や成田と一緒に遠くから義妹と後輩の様子を見守っていて、半分諦めたかのように微笑んでいた。
次章へ続く