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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第38章 【トラブルドゥトラベリング】その4


「おーい影山、何で固まってんだよ。」

そのくせ目の前で手をパタパタさせる日向はまるで蝿を払うかのように手でべしっとどける。
日向がすっ転ぶがお構いなしだ。

「予想以上だったからただでさえ少ない語彙がぶっ飛んだんじゃないの。」

例によってひねくれた調子で言うのは月島、しばし上から見下ろしてくる彼に美沙は若干身構えるが

「へぇー」

余裕の表情で月島は言った。

「いいじゃん。あんだけ着物嫌だ似合わないってごたくさ言ってた癖にさ。」

余談だが後で月島がこっそり山口に語った所によると内心は自身も予想以上に美沙が映えていたので凄いと思っていたのだがそのまま口にするのが何となく癪に障ってこうなったという。
そんな事は知らない美沙がキョトンとして見つめると月島はふんといつもどおり顔を背ける。
それを見た美沙はほんの少し考えてとりあえずまぁ月島もそない言うんやったらと納得し、

「おおきに。」

照れまくった挙げ句何とか一同に礼を言った。
と、和やかになった所で一旦話に区切りがつくと思われたが

「ちょお待て。」

侑が言った。

「おいサム、お前せっかくままコちゃんが着物着たのに何もリアクションないやないか。飛雄くんみたく固まってもたならともかく。」

こんな引き合いの出され方では影山も浮かばれないが当の本人はまだぽかんとしていてそれに抗議出来る状態ではない。
一方相方に話を振られた宮治は特に動じる事もなくじーっと美沙を見つめていた。
美沙が今度は何やと身構えていると治は制服のズボンのポケットをおもむろにゴソゴソしてスマホを取り出す。

「一緒に写真撮って。」

まさかのリクエストに烏野1年達は勿論稲荷崎2年達も飛び上がった。

「えええええええっ。」

直後にほぼ全員が同時に叫ぶ。

「稲荷崎のすげぇ人がっ美沙に写真撮ってってっ。」
「ちょ、ちょっとちょっとちょっとツッキーどうしよう。」
「どうもこうもやっぱり色物ファンが増えただけ。王様はいつまで固まってんの。」
「美沙さん美沙さんっ、何か凄い事になっちゃってるよっ。」
「嘘やろ治君がまさかの写真リクっ。」
「銀も小作もうるさい。」
「せやけど角名っ。」
「大丈夫、俺もビビってるから。」
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