第33章 【強引g his way】その4

「ものすげぇもん見た気がする。」
「ちょっと可愛い光景ね。」
「美沙さんやっぱり凄い、怖くないのかなぁ。私多分無理。」
「天下のウシワカに面と向かって天然呼ばわりするくらいなんだから何てことないデショ。」
「というか美沙さんって一旦開き直ったら変に強いよね。」
「ホントに人見知りなのかなぁ。」
「俺が知るかよ。」
「影山よりは気ぃ遣ってるけどな。」
「んだと日向ボゲェッ。」
「及川がつけまわすから慣れたんじゃねぇかっ。」
「いや西谷、人聞き悪すぎ。」
「あの子は誰にでもああなのか。」
「慣れたらな。兄貴の縁下は人を疑わないから困るってしょっちゅうこぼしてるけど。」
「主将も大変だな。」
「はは、そっちで副主将やってるのも大概そうだけど。」
「てかあれでよく牛島さんと工を天然って言えるよなぁ。」
「川西君、美沙さんは半分ボケだから。」
「ごめん成田君、言ってる事がよくわからない。」
「突っ込みも入れてるからボケって自覚がないみたいで。」
「てか縁下が暴走して一緒にボケに回るのがいっちゃんヤバイんだよなぁ。俺と成田が出動しないと。」
「お前らの同期と妹マジでどうなってんだ。」
「聞かないようお願いします、山形さん。」

そんな皆のやりとりが多少聞こえていたのかとうとう五色が美沙に言った。

「おい電の、じゃなかった、えーと」
「私、縁下美沙。」
「え、えん」
「美沙でもままコでもどっちでもええよ。」
「と、とにかくそろそろやめろ。」
「わかった。」

美沙はパッと手を離して五色はガバアッと上体を起こしてしかも少し後ずさる。

「お、お前手ぇちっちゃすぎね。」
「やっちゃんもちっちゃくて可愛いで。プラス顔も。」
「美沙、そういう話じゃないから。」
「相変わらず妙に骨が細いが食べさせているのか。」
「ちゃんと食べてます。というか牛島さん、俺は親じゃないんですが。」
「すまん、」

微妙に反論する力に牛島は言った。

「どうにもお前が保護者と錯覚してしまう。」

とどめだった。
烏野側も白鳥沢側もほぼ全員が爆発したかの如き大笑いをした。しかもそれは大人達にも感染した為辺りはまた騒がしくなる。