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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第31章 【強引g his way】その2


「死にたなかったから。」

さっきまでギャグ風に上がっていた空気が一気に下がった。伊達工はまたも一斉に美沙を凝視、烏野の方は事情を知っている山口、谷地、菅原が何とも言えない笑みを浮かべて目を伏せていて月島はいつもどおり特に表情に変化がない。
澤村以下他の連中はそうだったのかと言いたげにこれまた美沙を見つめている。
悲壮感を漂わせるでもなく縁下美沙から放たれるその言葉はさらりとしている反面いつだって重い。

「お、大袈裟な事言ってんじゃねえ。」
「大袈裟ちゃうもん。」

明らかに衝撃を食らっていて声が少し震える二口に美沙は更に言った。

「保護者おらんくなったし親戚は皆ややこしい奴は引き取りたないって言うし、1人で食べてける自信なかったし。」

止めだった。流石の二口もこれには口をつぐまざるを得ない。

「身の上は大体知ってたけど」

とうとう何とも言えない空気を打破するように茂庭が困ったような笑いを浮かべて口を挟んだ。

「これまた重い話だな。」
「とりあえず鎌ちは泣くなって。」
「だって、だってよぉぉぉ。」

以前に美沙の身の上を聞いて号泣した事のある鎌先は笹谷になだめられながら袖で涙を拭い、縁下兄妹を除く烏野、伊達工の部員達もマジかと言った様子で顔を見合わせたりしていた。

「また新たな凄い話聞いちゃった気がするんですけど。」

滑津が清水に言い、清水はそうねと頷く。

「私もあの辺は初めて聞いたわ。」
「私は美沙さんから聞いてはいたんですけど何回聞いても心臓が縮んじゃいます、うう。」
「ツッキー今の見た。美沙さん伊達工の主将黙らせちゃった。」
「というか毎度何も考えずにあの話するままコさんはどうなの。」
「ままコはいつもああだろ。」
「え、影山にわかるの。」
「前にままコから似たような事聞いてたからわかった。ってかどういう意味だ日向ボゲェッ。」
「何回聞いても重いですなー。」
「スガ、知ってたのか。」
「うん。」
「いや何でドヤ顔。でも美沙ちゃんてさ、その、凄いよな色々な意味で。」
「旭も少しは見習え。」
「大地、無茶振りやめて。」
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