第31章 【強引g his way】その2
こうして出動した滑津、青根高伸と力によりやっと二口と美沙は引き離された。
それでもまるっきり動物のようなノリでお互いをガルルルと威嚇する2人はそのままズルズルと引きずられていった。
しばしの時間を置いて烏野の方は何故かお尻のあたりをさすって涙目の縁下美沙の姿が、伊達工の方はぶっすぅと膨れっ面をした二口の姿があった。
「ったくお前は」
烏養が美沙に言う。
「何で外連れてく度に他校と何か起こしやがんだ、日向か。」
「すみません。」
「俺とばっちりっ。」
「僕らの立場を理解するいい機会じゃん、日向。」
「俺がいっつもとばっちり食わせてるみたいに聞こえるんデスガ。」
「違うつもりだったの、呆れた。」
「が縁下も、何もケツ叩けとまでは言ってねーぞ。」
「すみません、でもこいつ一度暴走したらそうでもしないと止まらないんで。」
困ったような笑顔で言う力だがすぐ後ろで木下が呟く。
「逆に俺らが恥ずかったんだけど。」
更にその横で成田も頷く。
「伊達工の方もめっちゃ見てたよな。」
実際その通りだった。
「ザマァ、半分ボケザマァ。」
「二口、お前人の事言えないからな。」
「おうよ、最初にふっかけたのお前だろーが。」
「あいつの身の上聞いた途端号泣してひっつかんだ鎌先さんに言われたかないっスね。」
「仮にも主将が悪あがきはやめような。」
「笹谷さんまで。」
「それよりあの子可哀想、公衆の面前でケツ叩かれるとか。」
「同感です女川さん、それも一応女子ですし。」
「うう、主将が美沙さんと喧嘩してんの見るといつも落ち着かない。」
「でも黄金は出ていかないようにな。」
「何でですかっ、小原さんっ。」
「黄金川君がすぐ美沙さん持ち上げちゃうからじゃないかなぁ。」
「とにかく二口は可愛いからって美沙ちゃん見る度に喧嘩すんのやめなさいよ、マジ小学生。」
「捏造すんなっ、可愛いとか思ってねーっ。」
「素直じゃないわねぇ、文化祭行った時美沙ちゃんのコスプレ気にしてたじゃない。」
滑津の話に茂庭がコスプレ、と反応した。