第28章 【パニック at the 文化祭】後編 その4
力と金田一に詫びを入れられた影山がたどたどしくも応えている間にパタパタと足音がした。見れば義妹の美沙と成田である。
「兄さん。」
「ちょいと遅かったな。」
「美沙、やっと気がついたのか。」
「山本君に名前呼んでもらって白布君にわざと薬丸って呼んでもらって京谷君に起きろって言ってもらっても駄目だったから二口君にいつまで寝てる半分ボケロリって言ってもらったら怒って気がついたから赤葦君にお兄さんが大変だからって抑えてもらって連れてきた。」
「ちょっと待て成田、色々おかしい。」
「しょうがないだろ、美沙さんが珍しくすぐ起きなかったんだから。」
「おーい成田ー、二口は青根達にに引き取ってもらったぞー。」
「お疲れ、木下。」
「やーまさか起きた途端に美沙さんが誰がボケロリやって二口ハンカチで叩こうとするとは。」
「結局ややこしい事になってるじゃないか。」
「成田は縁下が凶行に走るから美沙さんに止めてもらうとしたんだぞ。まさかのオチがついたけど。」
「わかったよ俺が悪かった。」
「せやで兄さん。」
「美沙は黙ってな。」
「何でっ。」
「お前が色物を引き寄せるせいで俺の心配が尽きないんだから。」
「理不尽やっ。」
「おい、色物って牛島さんの事か。」
「うちの美沙に興味持ってるあたり普通とはその、言い難いと思うけど。」
「興味深いのは確かだ。」
「牛島さん、肯定しないでください。」
「俺は至って普通だぞっ、な、あかーしっ。」
「同意しかねます。」
「何でよっ。」
「初対面でままコさんの身の上聞いて号泣した挙句抱きついたのは誰ですか。」
「東京にも半分ボケに抱きつく悪趣味がいんのかよ。」
「あいつの身の上は聞くと胸が痛む。」
「へーへー青根もそーだったなー。」
「おいそこの兄貴、俺を色物枠に入れるんじゃねーぞ。」
「それは難しいご相談です、黒尾さん。」
「あん。」
「何だかんだいいながら構ってるでしょう。」
「てめえんとこの地味リボンが余計な口叩くからだろが。」
「ひどい事言うよねー、美沙ちゃんあんなの相手にしちゃ駄目だよ。」
「変態の相手も必要ねぇ。」
「岩ちゃんやめてってばっ。」
「これどないしたらええんやろ。」
「放っておきな。」