第28章 【パニック at the 文化祭】後編 その4
「どんだけ心配性なのさぁ、ハンドルネームままコちゃんのファンたるものそれくらい察するって。」
「いえですから察するにしてはピンポイント過ぎると。」
「細かいことばっかり言ってると早いとこ禿げるよ、ねー美沙ちゃん。」
「おい、まだ固まったままだぞ。それとクソ川は触ろうとすんな、おめーがそれ以上触ったら犯罪だ。」
「牛島さんに言われたのがよっぽど堪えたのかな。」
「俺は事実を言ったまでだ。」
「それはともかくとして実際の所どうなんでしょう、及川さん。」
「いきなり水向けようたって無駄だよ、縁下君。」
義妹の美沙のコスプレの件がどうして漏れたのか気になる力に対しヘラヘラと追求を逃れる及川、話はそのまま進まないかに思えたが
「え、でも」
ここで金田一がぽそっと呟いた。
「及川さん影山に聞いたって。」
その場にいた一同に動揺が走った。
「馬鹿っ、金田一っ。」
岩泉が叫ぶがもう遅い。ただでさえ顔色が悪かった影山がいっきに血の気が引いたようになり、ガタガタ震え出す。
「ええっ影山お前大王様に喋ったのっ馬鹿なのっ。」
日向が驚いて声を上げるが勿論影山は答えるどころではない。既にこちらを向いている先輩、縁下力の顔から表情が消えている。
「なるほどそっか。」
次の瞬間力は笑顔になっていたが例によって目が笑っていないので影山からしたら恐怖以外の何者でもなかった。周りから見ても明らかにヤバイ状況に一同も騒ぎ出す。
「これは金田一が悪い。」
国見がちろりと金田一を見た。
「やっちまった。」
金田一も勿論汗をだらだらと流している。
「あーあ王様カワイソ。」
「ツッキー、顔が笑っちゃってるよまずいって。」
「いーじゃん、ちょっと位。」
「どどどどどどうしましょう清水先輩ぃぃぃぃぃ。」
「大丈夫、縁下は暴力ふるったりしないから。万が一の時は成田と木下に止めてもらいましょ。」
「ていうかあー、影山君めっちゃあとずさりしてるよー。」
「まるでゾンビか何かに迫られてるみたいね。」
「二口がどシスコンとか無茶苦茶言ってるけどこれは確かに物凄いかも。」
言っている間に縁下力はずんずんと影山に歩み寄り、影山はその度に後ずさりを続けていた。