第26章 【パニック at the 文化祭 後編 その2】
そうこう言っている間にも美沙は既に限界突破寸前であったがまだ終わらない。
「あかーしっ、ここここっ。」
またやかましい声が聞こえた。嫌な予感しかしない美沙はこれはアカンと教室の奥の方の席へ紙皿などを回収しに行こうとする。
「そんなに騒がなくても見ればわかりますよ、木兎さん。」
「ノリだってノリっ。あ、そこの奴、ままコいるかーっ。」
「木兎五月蝿い、それにハンネで聞いたってわかりっこないでしょ。」
「私は早く甘いの食べたいなー。」
そのままコこと縁下美沙は既にどこが襲来したのかわかっている為、連中が見えていない振りをして回収した皿類を所定の場所へ持っていく。おそらく向こうは化粧をした上にフリフリのロリータ服を着た自分などわかるまい、と思いたい。
だがしかし
「あっ、なあなああかーしっ、あれままコじゃねっ。」
木兎の声に美沙は内心ぎくりとした。
「どうでしょう、女子はお化粧したりすると随分印象が変わりますが。」
「そうそう特に地味な奴が塗りたくってたらわかんねーかもだぜ。」
「木葉、アンタ女子を敵に回したいの。」
「とにかく木兎、指を指すのは良くない。」
「話しかけたらいいんでないの。」
「猿ナイス、あの子関西弁だもんな。」
「赤葦さん、猿杙さんと小見さんが焚き付けてますけどヤバイっスよね。」
「尾長の言うとおりだと思う。という訳でお2人とも、人違いだったら収拾つかないのでやめてください。」
「すんませんでした。」
おそらくは赤葦が察して適当に流そうとしてくれているのだと思った美沙はそそくさとまた別の客の対応をしようとした、が
「ままコさんはあっちの対応。」
明らかに何か企んでいる笑顔の月島に強引な進路変更をくった。
「モテ島君は何か私に恨みでもあるん。」
「呼び込んだからにはアンタが対応すべきデショ。」
「私何もしてへんもんっ。」
「直接的にはね、でもここんとこのパターンからして他校の男バレが来る時はアンタ目当てなの明白じゃん。」
「山口、何とか言うたってっ。」
「ツッキー、流石に無茶言うのは良くないって。」
「どうせもう遅いよ、木兎さん気づいたみたいだから。」
言われて美沙はハッとした。とりあえず黙って話を聞いていた谷地にもしかしてと無言で語ると谷地は苦笑して頷く。