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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第17章 【どうしてこうなった】後編


一方の義兄は練習とはいえドキドキしながらコートに向かっている。ナイッサーと味方から応援の声が響く中ネットの向こうの及川をチラと見た。向こうが全体を見渡しているような隙のなさを醸し出しているにも関わらず力は及川の顔を見た途端先ほど義妹にちょっかいをかけられた事を思い出してスンと無表情になる。自分でも笑えるくらい落ち着いてきた。そしてコートに入った瞬間、

「さっ、こおおおおおおいっ。」

気合いを入れてそう声を上げていた。澤村や東峰は縁下が気合い入ってて頼もしいと微笑ましく思っているし日向、西谷は何も考えていない。だがしかし今回に関しては違う観点から見ているものが多数だった。

「なあ、成田。」

木下が呟く。

「縁下のアレやっぱ美沙さん効果かな。」
「だと思う。及川さんがちょっかいかけたから今度は公的にやり返すチャンスとか思ってそう。」
「縁下にそこまでさせる及川がすげえんだか及川にそこまでちょっかいかける気にさせる美沙ちゃんがすげえんだか。」
「笑うとこっすか、菅原さん。」
「俺は美沙さんが凄い気がします。」

山口が苦笑して呟いた所で丁度力がスパイクを打っていてしかしまた影山の顔が少し青く、月島がうわあという顔で力を見ていた。


烏野でこれだ、青葉城西側も反応しないはずはない。

「間違いなく烏野6番に狙われるな、及川は。」

花巻が松川に呟く。

「シスコンなのわかってるのに妹にあんなキショイ事してるしな。」

松川は遠慮も何もない。

「ちょっとお前ら聞こえてっからっ。」
「元より伏せる気もねーから。」
「ひどいっ。」
「黙れ狂信者。」
「岩ちゃんまでっ。」

短時間の間によくぞここまで会話出来たのもすぐ試合モードに切り替わるあたりも流石である。

「ライトおおおっ。」

烏野側で縁下力が声を上げた。積極的かつ意外にもまともにプレイしている。スパイクは即ブロックしたものの青葉城西側は内心キョトンとしていた。

「意外と普通にきましたね。」

渡にまで言われる辺り縁下兄妹はもうどうしようもないかもしれない。

「たりめーだ私情挟まれてたまっか、おらお前ら油断すんなよっ。」

岩泉の声に青葉城西側は気を引き締め
なおす。ラリーが続いた。

「兄さん。」

2階からは美沙が柵にしがみついて義兄を凝視している。
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