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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第24章 ・烏と再会


若利は義妹の文緒が烏野の日向翔陽及び影山飛雄と話したのが相当気に食わないのか、先日文緒が日向に落し物を届けてくれたお礼を言いに行きたいといったところしなくていいと言下(げんか)に否定した。しかし当の文緒はいくら若利の言う事といえど納得しておらずすきあらばちゃんと言いたいと思っていた。
そういう訳で文緒はその日、真逆の方への寄り道を決意した。

学校からの帰り、確か日向達はこっちの方からランニングしてたとややいい加減に文緒はポテポテ歩く。まったく何も調べなかった訳ではないが文緒はガラケーによる地図検索は苦手だ。家で大まかに調べて何となくそれを頭に浮かべながら行くというかなり危ない真似をしている。文緒への愛—どの種類かは今は置いておいて—を自覚した若利が聞いたら何というだろうか。

しばらく辺りは人の姿がなかった。しかし文緒がとある坂を下り始めると向こうから誰かがやってきた。ぶっちゃけ地味、しかし今時七三分けなのがかえって目につく少年である。そしてその少年は見覚えのあるシャツを着ていたので文緒はついそれを凝視してしまった。

「君、どうかしたの。」

温和な声で話しかけられて文緒は慌てる。

「ああ、申し訳ありません。烏野の人なんだなって思ってつい。バレー部に知り合いがいるもので。」

少年は知り合いと首を傾げしかしすぐに何か気づいたような顔をする。

「もしかして君が牛島文緒さん。」

文緒は思わず飛び上がった。のんびりした顔をしてこの少年、なかなか察しが良い。

「ははははい、そうです。」
「という事は知り合いってうちの日向と影山だな。」
「そのとおりですがどうして。」

どうしてってと少年は困ったように笑った。

「白鳥沢の制服でうちに知り合いがいるっていう女子って言ったら他に思いつかなくて。日向と影山から聞いてるよ、何だか色々事情があるみたいだね。」
「何て事。」

それにしたってよくわかったものである。侮れない人だと文緒は思った。一方少年はああごめんと呟く。
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