My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
優しい愛撫のような刺激は、微弱でも幾重も重なれば体を震わせてくる。
熱を持たせ、快楽を促してくる。
堪らずティキの首に両腕を絡めて縋り、ぎゅっと力を込めた。
じゅッ、と音を立てて胸を吸われ、残すもう一つの胸の芽を長い指先で摘まれる。
「っ──…!」
ちかりと、強く瞑った瞼の裏が一瞬弾けた。
「っは…!」
大きく息を紡ぐと、脱力したように力が抜ける。
「は、…ぁ…っ」
「いっちゃった?」
「…ぇ…?」
果てたかどうかさえ、自分ではわからない。
ただ熱に翻弄されるまま、体が勝手に反応しただけだ。
ぼんやりと脱力して見上げる雪の頭を、ティキの手が優しく撫でる。
「まさか胸だけでいけるなんて。雪、素質あんね」
「な…ッち、違ッ」
「あれ。違うの」
羞恥を煽るような言葉に、カッと雪の顔が更に赤くなる。
否定をしようにも、本当のところはわからない。
自分の体なのに、どこか上手く扱えていない気がして。
見えるものは全てきちんと目の前にあるはずなのに、肝心なところに触れられていない。
そんな奇妙な距離感があった。
「こっちも感じてんのに?」
「ッ!」
びくりと雪の体が跳ねる。
ティキの長い指が、下半身を辿り衣服の上から足の付け根に触れたからだ。
見えているはずはない。
伝わるはずもない。
なのに、じゅわりと濡れた膣の奥を見破られたような気がした。
「そこは…だ、め…」
何故かはわからない。
だがこれ以上、進んではいけない気がした。
覆い被さるティキの体を押し返すことはできなくても、弱々しく首を横に振る。
雪のその姿に、ティキの切れ目が薄く細まる。
「なんで駄目? 俺が嫌?」
「ティキ、は…嫌じゃ、ないよ…」
「じゃあなんで?」
「は……恥ずか、しい…」
果たしてそれが本当の答えなのか。
雪自身もわかり兼ねたが、確かに感じていたことは事実だ。
ティキのことは好きだ。
もっと彼を知りたいと思う。
沢山、家族の話も聞かせて欲しい。
だが体を重ねる関係を望んでいた訳ではなかった。
(…あれ。じゃあ私、なんでこんなこと──)