My important place【D.Gray-man】
第13章 夢現Ⅰ,
「雪、俺の名前は?」
「…ティキ・ミック」
「そ。ちゃんと憶えてろよ」
離れる手。
念を押すようにそう口にして、その人が腰を上げる。
「そろそろ時間だ。行かなきゃな」
「行く? 何処に?」
「俺じゃなく、雪がね」
思わず立ち上がる。
見上げた背丈はかなり高くて、近くに立っているから、思わず首が上に曲がった。
見下ろす金色の目は、じっと私を映し出す。
「じゃあな」
ふ、と笑みを零して。
あ、消える。
なんとなくそう直感した時。
「ちゃんと待ってろよ」
その人の手が、さらりと流れるような動作で私の髪を撫でた。
「迎えに行くから」
最後までどこかキザで、最後まで意味のわからないことを口にして。
そして、目の前は闇一色に染まった。