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My important place【D.Gray-man】

第13章 夢現Ⅰ.



「そういうのをナンパの常套句って言うんです…夢に興味持たれても、別に嬉しくないし」

「だから夢じゃねぇって」



 やれやれと溜息をついて、その人は降参するかのように軽く両手を挙げた。



「わかった、先に聞いたの俺だしな。教えてやるよ」



 屈んだ膝に両腕を乗せたまま、その人は私を見てにこりと笑う。



「ティキ・ミック。それが俺の名前」



 ティキ・ミック?
 …やっぱり知らない名前だ。



「次はお嬢さんの番」



 笑顔のまま催促されて、一瞬迷う。
 座り込んだ私より、屈んだその人の少し高い位置にある顔を伺う。
 神田とはまた違う系統の美形顔。
 美形というよりイケメンさん。
 そこはかとなくその存在自体から、色気みたいなものを纏った大人の男性。

 …こんな色んな意味でインパクトある人、出会っていたら早々忘れないと思う。



「……」



 知らない人だから、なんとなく腑に落ちない。
 でも自分の言ったことを守って、ちゃんと名前を教えてくれた。
 そう思うと、否定する理由は見当たらなかった。



「…月城雪」

「雪? へぇ、やっぱアジア系か。うちにはそういなかったタイプだな」



 うち?



「じゃあ改めて、二度目の挨拶。"はじめまして"、雪」



 差し出される手。
 見上げた顔は口元に薄く笑みを浮かべたまま。
 そこに悪意なんて見えないから断る理由なんてなくて、おずおずとその手を握り返す。



「あんまり危ないことはすんなよ。自分の為にも」

「危ないこと?」

「周りにバレないようにってこと」



 バレるって、何が。
 相変わらずの曖昧な表現に眉を潜めれば、ティキと名乗るその人は綺麗に笑った。

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