第43章 羊の詩(うた).

　求め合うように交わす、ぎこちなくも激しい唇同士の愛撫。
　唇がふやけるかと思う程、何度も唾液を交換して。やがてそれが離れたかと思えば、強く私の手を握ったままユウの体が密着してきた。

　ぴたりと張り付く肌と肌。
　少ししっとりと汗ばんだ感触もする。
　鎖の所為で抱きしめ返せはしないけど、両手は指を絡めて握られたまま。
　覆い被さられて熱っぽく荒い息遣いを耳元で感じていると、ユウの強い抱擁を受けているような感覚がした。

　直接肌と肌が触れ合う感覚。
　それは確かな心地良さ。


「ぁっ…ユ…っユウ…ッ」


　求めるように名前を呼べば、応えるように律動が更に速さを増す。

　ぐちゅぐちゅと濡れた膣内を掻き回されて立つ卑猥な音。
　ずくずくと遠慮なく膣壁を擦り上げられる感覚。
　混じるのは自分の嬌声と、荒いユウの吐息。

　ユウを受け入れている体内だけじゃなく、耳や重なる肌からも与えられる快感に、急速に昇り詰めていく。
　快楽の高み。


「っまた、きちゃ…ッ」


　ずっとユウを求めていたからなのか、この状況が奇跡のようなものだからなのか。
　体がいつもより強くユウを欲して、過敏になってる気がする。

　あっという間に強さを増す快感に、堪らず密着したユウの肩に顔を押し付けた。


「はぁ…っ、いいぜ、イケよ…っ」


　耳元で熱を帯びた声が響いたかと思えば、かぷりとそのまま耳朶を咥えられる。
　濡れそぼった舌が耳の中を這う。
　ダイレクトに響く卑猥な水音と舌の愛撫に、ぞわぞわと肌が戦慄いた。

　だめ。
　また、いっちゃう。


「ふ、あっイ…ッ…ん…！」


　狙ったように大きく膣内を抉られて、跳ねる体。
　ぎゅうっと痛いくらいに強くユウの手を握り返す。
　同じに股に自然と強く力が入った。


「っく、ぅ…ッ」


　昇り詰めた快感に絶頂へと導かれる。
　耳を犯していたユウの口が止まったかと思うと、微かに喘ぎ漏らした。