第36章 MeeT WorlD
琴乃の体感では
とても長く感じた沈黙の約二秒間は、
「はい。面会ですね。
瑠璃代さんは307号室です。」
という看護婦さんの声で
もとの正しい時間を刻みだした。
「それではここに
氏名と電話番号をお願いします。」
『は・・・はい』
琴乃は少し震えた手でペンを取り、
紙の中に文字を書く。
(やっぱり、ここにいたんだ・・・!!)
うれしさと、不安と緊張と、
会えることに対しての照れくささを感じた。
「それでは奥のエレベーターをお使いください。」
『ありがとうございます』
琴乃は看護婦に頭を下げると、
エレベーターに乗り込んだ。