第35章 BikE WorlD
琴乃は起き上がり、
グラスに水を注ぎながら頭を働かせた。
さっき一瞬で流れてきた
あの光景の数々を、
一つ一つじっくりと思い出していた。
グラスに口をつけ、水を飲み始める。
(自転車の兄妹と、
救急車の天井・・・それから・・・)
ヒーローさん・・・
病院の外装・・・<307>の扉・・・どこかで・・・
『ん・・・!!!!
んっ!!ゴホッゴホッ!!』
琴乃は何かに気づき、
驚いた拍子にむせてしまった。
カツッ!!
飲みかけのグラスを勢いよくキッチンに置き、
琴乃は身支度をし、
自転車に乗り、走り出した。