第29章 OlympoS WorlD
琴乃は
自宅のテレビの前に置いてある
テーブルの上に
図書館から借りてきた本を広げて
何度も何度も
<オリンポス十二の神>の名前などを
読み上げていた。
『神1、ゼウス、全知全能の神、最高神。
神2、ヘラ、婚姻と母性の神。
神3、ポセイドン、海と泉の神。
神4、デメテル、豊穣の神・・・』
11周目から
数を数えるのをやめた琴乃は
だんだん内容を覚えてきた。
唱えたままお風呂に入り、
脳内で言葉を巡らせたまま夕食を食べ、
呟いたまま布団を肩まで掛ける。
そうしてまた、眠りへ、
夢の世界へと誘われていった。