第10章 緊急入院
「お知り合いですか?」
月くんが帰ってからしばらくして、双葉くんが口を開いた。
「まぁね」
「僕も、以前会ったことがあるんですよ。
妹さんが運ばれて来た時に」
あの時、ね。
「カッコイイですよね、月くんって」
「そうだね」
「それに頭も良いなんて、反則ですよね」
「どうして知ってるの?」
「前に聞いたんです、東大生だって」
「そう」
成績トップで入学してるからね。
「竜崎さんも東大生なんですか?
さっき休学とか言ってましたけど」
「さぁ、それは分からない」
大学には、竜崎流河なんて存在しないからね。
大学に居るのは、流河早樹だから。