【SS合同企画作品】autumn collection
第2章 紅葉
「いいザンスか!花より団子!とにかく団子を売りまくるザンス!」
『は、はぁ』
時は5日前に遡る…
《求む!団子売るだけ時給1000円!》
こんな美味しい話ある?紅葉を見に来た人に団子売りつけるだけで金がもらえるというなんとも素晴らしいバイトを見つけた私は先輩のイヤミさんと売り子をしていた
『団子はいりませんかー?紅葉と一緒にどうぞー』
「もっと気合い入れるザンス!」
もう一度声を出そうとした瞬間男の人がハンカチを落とすのが見えた
『イヤミさんすません抜けます』
「シェー!?待つザンス!!」
急いでハンカチを拾い握りしめて私は彼を追いかけた。どうやら落とした男の人は派手なスパンコールのズボンを履いている人だと思われる
゚*:.。.*.:*・゚.:*・゚*
彼を追いかけていると一軒の家の前まで来てしまった
『松野…?』
おそるおそるインターホンを押すと赤い松野さんが出てきた
『あ、あのこれさっき落としましたよ』
そっとハンカチを持った手を彼の方へ伸ばした
「あ、これ俺の弟のだ」
『お、弟?』
「そ、次男のカラ松!たぶん出てくると思うから渡してあげて?」
『え、お兄さん渡しといてくださいよ』
「俺今からこれだからさっ」
右手をくいっと回し、にやっと笑うとパチンコ屋に向かって行った。おいコラお兄さん
なんだかめんどくさくなりそうな予感を察知した私は早めに帰ろうと決めた。歩きだそうとした時、再びドアが開き紫の松野さんがだるそうに出てきた。きっと彼がカラ松さんなんだな
『あの!カラ松さん…?』
「…」
『あ、あの…』
あからさまに不機嫌になった紫の松野さんはドス紫のオーラを振りまき私に近づいてきた。そして私をキッと睨み、
「…一松ですけど?」
『…すみません』
全身を凍りつかせるような声色で一言そう言うと何処へ歩いていってしまった。いや怒られても知らないしカラ松か一松かなんて知らないから!!
私が一人で怒りをあらわにしているとドヤ顔してこちらを見ている青い松野さんがいた
「なにかお困りかい?このカラ松に相談すればお悩み解決だぜ」
彼がカラ松さんなのだと理解するのと同時に私は自然と右手に力を込めていた
「ん?どうしたんだいカラ松ガ『ややこしいわぁ!!!』
吹っ飛んだ彼のスパンコールが爽やかな秋晴れと共に輝いていた