【SS合同企画作品】autumn collection
第5章 カーディガン
『彼カーディガンがしたい。夢ですわ』
「ぶはっ!夢ちっさ」
彼女からの突然の告白に思わず吹いてしまった。二つ下の彼女と並んで歩く帰り道。だんだん肌寒い季節になってきた
「やりたいならいつでも貸してやんのにな。まぁ俺のじゃ大きすぎるか」
『うるさい!それに先輩カーディガン着てないじゃないっすか。寒くないんすか?』
もともと小さな体をさらに小さくしてカーディガンの袖に手を隠すがあまりにも可愛くて頬が緩む
「ちゃんが可愛いからあったかぁーい♡」
『気色悪いんで近づかないでください』
「はいはい、可愛いなぁ」
『ちょっ!』
カーディガンの中にある彼女の小さな手を握ると顔を真っ赤にして俯いてしまった
゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*
『あああ!!彼カーディガンしたい!!』
「うるせえぞ!片付けやれ片付け!」
『夜久さんひどいっ!』
あの帰り道から口癖のように毎日言い続けている。研磨にまで貸してあげたら?と心配されるほどだ
「そんなに寒いなら俺の貸してやるよ」
『え、嫌です。だって夜久さん私と同じくらいだもん。ちょっと大きいくらいがいい』
「黒尾、こいつ殴っていいか」
ぴーぴー騒ぎながら逃げまくるを捕まえて早く着替えろと耳打ちする
『せーんぱーああああ!!』
「なんだよ」
『そそそれ、私と同じ…』
「彼とおんなじカーディガンどう?」
『最高っす…』
『でもなんで私に先輩の着させてくれないんですか?』
「え〜?それは…なんか興奮するから?」
俺が0.5秒後に右ストレートを食らったのは言うまでもない