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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第26章 夢√編 魔法の解けたシンデレラ







 ――・・・そして翌日。



 ウィスタリアを出て行く日・・・――。



(・・・これで、全部)

 結局ほとんど眠ることも出来ないまま、
 朝が来てしまった。

 気を紛らわせるために始めた荷造りも、
 あっという間に終わってしまう。

(・・・自分の荷物って、これだけしかなかったんだ)

 ボストンバッグのファスナーを閉めながら、
 持って来た物の少なさに驚く。

 ふっと視線を上げると、
 部屋の隅の
 お菓子が入った棚の取っ手に
 結んでいた風船が、
 少しだけ萎んで浮かんでいた。


「風船の中に・・・箱が入ってる」

「何が入ってるの・・・?」

ルイ「秘密」

ルイ「風船はいつか消えるから、残るものだよ」


(・・・まだ完全に萎んでないから、中身が何か・・・わからないや)

 中身を取り出してしまったら、
 きっとここを
 離れられなくなりそうな気がして、
 わざと視線を逸らす。

 ベッドの脇に置いておいた
 ガラスの靴を手に取ると、
 シャンデリアの光が反射してきらりと光った。

「・・・返さなきゃ」

(このガラスの靴が、私をここに留まらせていたけど・・・歩き出すのはきっと、自分自身)

 100日間、
 このガラスの靴を履いて歩ききれなかった。

 けれど、
 今日からはまた
 自分の足で歩き出さなきゃいけない。

(・・・ガラスの靴を無くしたシンデレラは・・・・・・きっと、王子様の記憶を思い出しながら歩いたのかな・・・)

 そんなことを想いながら、
 ガラスの靴とボストンバッグだけを抱えて
 歩き出そうとした時・・・・・・

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