第22章 赤い鎖【長編番外編】
「んぅ…ふ、んっ」
熱っぽく吐息を吐いて、また舌を絡めしゃぶりつく。そうしながら本当は叫びたかった。
晋助、晋助、と愛おしい恋人の名を。
その名だけが、自分の心を満たしてくれる。この虚ろに軋む心の中で、唯一確かな存在。その存在以外に、必要なものなどない。
晋助、晋助、好き。大好き。お前さえ居てくれれば、俺はそれでいい。
口内に含んだ晋助自身が、ビクビクと震えだす。自分の舌と口で、晋助が感じてくれているのだ。悦びに心がとろけそうになる。
視線を上に上げると、切り裂くほどに鋭い視線とぶつかった。心の奥まで見透かすような容赦のない瞳に、ビクリと身体が震える。それでも懸命に奉仕を続けると、熱く苦い蜜が口内を満たす。
青臭さが鼻孔と口いっぱいに広がり、思わず噎せてしまいそうになったが、喉を鳴らし全て飲み込んだ。
「よくできたな」
晋助の指先が唾液で濡れた唇を拭う。
だがこんなのでは満足出来ない。期待を込めた目で晋助を見上げると、彼はニヤリと妖しく唇を歪ませる。