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ワールドトリガー【中・短編集】

第9章 初恋――三輪秀次


三輪side

『秀次!付き合って!!』

また来た
朝霧は廊下の端から大声で叫ぶ
俺は無視を貫き通す
それでも、好きといってくるコイツはかなりの物好きだ

「いーなー、秀次。モテモテじゃん」

隣で陽介が冷やかしてくる

「モテてない。コイツが毎日言ってくるだけだ」

はぁー、と溜め息をつくと陽介があはは、と笑う


この関係は突然始まったのだ
朝霧がボーダーにはいってすぐの頃、強いと有名だった朝霧のランク戦を陽介と見ていた

強いと噂されるだけあって確かに筋は良かった

そして、隣にいた陽介は朝霧が出てくると同時に朝霧ランク戦をしようと、言っていた

その朝霧が俺に目を向けたときその目は大きく見開かれた

『名前は?』

「は?」

唐突にそう聞かれ俺はなにも言えなくなった
隣で陽介もポカン、としている

『名前、教えて』

「…………三輪、秀次……」

そう答えると、何回か小声で復唱し朝霧は俺をまっすぐに見た

『秀次!私秀次のことが好き!!』

「………………………」

もうなにも言えなかった
名前も知らなかった相手を好きと言ったコイツはバカだ、いや、頭がおかしすぎる、そう思った

「ッアハハハハハ!!!!」

横で陽介が腹を抱えて笑っていた

「お前、おもしれーな!!名前は?」

『朝霧夏海!』

「夏海か!よろしくな!」

そう言って陽介は夏海の髪をくしゃ、となでた

(陽介、こんなやつに触ると頭がおかしくなるぞ)

俺は心の中でそう思った
だが、陽介が手を離す前に朝霧がその手を振り払った

『陽介には触ってほしくない!秀次に触ってほしい!!』

「はぁ!?……ははっ!おもしれー!!お前気に入った!」

「………………意味がわからない……」

『秀次!付き合って!』

「断る。お前みたいなやつはごめんだ」

俺はきっぱりと断った
これで俺たちの関係は普通の同級生

………………になるはずだった


が、朝霧は俺を見つけるごとに告白してくる
かれこれ、二ヶ月ぐらいになる

最初の方は断っていたが、最近は面倒くさい
それでも、諦めず告白してくる朝霧は何がしたいのかわからない




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