第62章 ライバル―――出水公平
「バイパー!」
出水のバイパーが四方八方から飛んでくる
出水はボーダーでもリアルタイムで弾道を引けるバイパー使いだ
だからって負けないけど
『ハウンド!』
ハウンドで出水の弾を相殺する
私はハウンドを使うのがなかなか上手いと自負している
それに――
『バイパー+メテオラ、トマホーク!』
「やべっ」
私は止めを指すまで手を緩めない質なのだ
それに、合成弾を初めてしたのは出水だけど、今では合成弾は私の十八番だ
一瞬で合成できる
何発かは出水の足場を崩し、体勢が崩れたところを狙う
その時だった
『……え……』
私の供給機関を弾丸が貫いた
『チィ……』
外れたバイパーの弾道を修正してたのか……
「今度は俺の勝ちだな」
ドヤァと笑う出水は隙を見せずに歩いてくる
『ムカつく……』
攻撃するにもできず私はベイルアウトした
「……6-4。今日は俺の勝ちだな。朝霧」
『うるさい。出水』
「おい。名前で呼べよ」
『……ぐっ……』
何故、名前で呼ばなきゃならないか……
それが、今回の勝負の賭けだったからだ
出水が負けたら私の名前を呼ぶ
私が負けたら出水の名前を呼ぶ
『………こう……へい』
「っ////」
『ちょっと!何赤くなってんのよ!』
「あ、赤くなんかなってねぇよ!」
『出水最近おかしくない!?』
「おかしくねぇし!あと名前!」
『……公平』
「これからずっとそれだからな。賭けの結果なんだから」
『それじゃ次もこの賭けにしよう!いず…公平が負けたら私の名前を呼ぶ』
「そんなに呼んで欲しいわけ?」
『違う!何か変な感じがするから!』
「ちぇー面白くねーの」
『何がよ!』
「別にー?」
そう言って出口に向かってあるいていく出水は振り返った
「何飲みたい?」
『え?』
「だから、何が飲みたいかって聞いてんの。奢ってやるよ」
『……!待って!一緒にいく!』
夏海は出水に走り寄った
「あ、あと次も俺が勝つから」
『無理!今度は私が勝つ!それに勝つって言っても何賭けるの?』
「勝ってから教えてやるよ」
『何それー』
けらけらと笑う夏海を見て心の中で呟いた
「勝ったら俺と付き合え」