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ワールドトリガー【中・短編集】

第56章 駄犬――犬飼澄晴


プルルルル


昼休み

私は屋上でボーダーの皆とご飯を食べていた

鳴り出した携帯を取り出す
その画面に表示された名を見て顔をしかめる

「またあいつか?」

カゲが笑いながら見てくる
それに私はため息をつきながら頷いた


「鳴りやまないな」

鋼がそういったあと私はボタンを押した



『………もしもし』

「あ!出てくれた!俺嬉しいよ!」

電話の向こうからハイテンションな声が聞こえてくる
携帯を耳から少し離して、いい放った

『うるさい駄犬。ちょっと黙って』

「…………。ねぇねぇ夏海!」

『一生黙ってて』

「えー!それはひどいよ夏海!俺は夏海のこと好きなのに」

『私は嫌い』

「えー!」と聞こえてくる声を無視して私は電話を切った



「スゲーなお前」

『何が?』

弁当のおかずを口に放り込む
当真が私を見てため息をつく

「お前………自分のことを好いてくれてる奴にあんなことできんのな」

『だってしつこいし。私は一回フッてるんだよ』

「言うな。そうはっきりと」

ポカリがそう言うが、仕方がない

「……夏海も大変だね」

ゾエがしみじみとご飯を食べながらそう言う

『他人事だと思って……』

「でもお前、東さんが好きなんだろ?告んねーのか?」

『は!?あ、東さんは師匠として尊敬してるだけで………そんなんじゃないし!!』

そう言って私は弁当箱を閉じて立ち上がった

『じゃ!私のクラス次体育だから!』

「お、おう……」

「またあとでな夏海」

片手をあげる鋼に手を振って足早にクラスに戻った



「嘘下手だな~、アイツ」

夏海が出ていったのを確認して当真はそう切り出した

「まさか、ほんとに好きだったなんてね」

「何歳差だ?」

「七歳差だな」

「大変だな。犬飼も」

残された面々はその言葉に何度も頷くのだった

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