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ワールドトリガー【中・短編集】

第7章 憧れ――嵐山准


急に大学がざわつき始めた

「キャー!見て!嵐山くんよ!」

「今日もかっこいいー!!」

人だかりがある方を目線だけを向けて見てみると、人の間から嵐山の顔が見えた
嵐山はいつだって笑顔で明るく、誰にでも優しい
その上かっこいいため、男女問わず人気で憧れの的だった

女子は嵐山を見つけると我先にと嵐山を取り囲み、話しかけ、デートに誘う

その女子たちは嵐山が来るのを待ち伏せしている

私も実を言うと嵐山のことが好きだ

だけど、嵐山に迷惑をかけるつもりもないし、そういうことをするのは嫌いだ
迷惑がかかるのは嵐山だけじゃなくて、周りの人も迷惑する
ボーダーでも人気がある彼はきっと彼女がいるだろう

私は見ているだけでいい

そしてたまにボーダー本部内で元気にしている彼を見るだけで安心できるのだ


私は講義を受けるため、講義室へ急いだが時すでに遅し
席は嵐山のファンで埋まっていた
私は仕方なく講義は諦めることにした


私は次の講義の時間まで本を読んで時間を潰すことにした
大学の敷地内にあるベンチに座って本を読み始めた



しばらくすると隣に誰かが座った
私は気にせずに本に集中していたが、次の瞬間私は飛び上がった

「なに読んでるんだ?」

『っ!?ひゃあっ!!?』

よく知っているその声に驚き私は手に持っていた本を落とし、ベンチから離れた

「はい、これ。驚かせてごめん」

嵐山は私がおとした本を手渡してくれた

『あ、あり、がと』

私は俯きながら受け取った

「とりあえず座れよ」

嵐山は突っ立ったままの私を見て苦笑しながら空いているベンチをポンポンと叩いた

私は一人分の間をとって座った

「本………読まないのか?」

『へ?あ、ああ、………読む……』

私は続きのページを開いて読み始めた
だが、さっきから嵐山がこっちを見ている
私は本の内容が全く入ってこないのにも関わらず、ページをめくり始めた

十分ぐらいたっても、それは変わることなく私は意を決して声をかけた

『あの………………私に……………っ////!?』

私は本を閉じて嵐山の方を向いた瞬間からだが硬直したように動かなくなった







嵐山は私をひどく優しい目で見ていたのだ







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