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ワールドトリガー【中・短編集】

第50章 風邪―――風間蒼也


「おい、どうした?」

『……ふぇ……?』

後ろを振り向くと眉間にシワを寄せている蒼也がずんずんとこっちに歩いてくる

「ふらふらしてるぞ。熱でもあるのか?」

ヒヤリとした手が額に当てられる

「お前―――」

『…そ……や…』

ぐらりと視界がゆれ、私は意識を失った

「この馬鹿。熱があるだろう」

風間は倒れた夏海を抱え、医務室へと運んでいった




『……ん……』

「起きたか」

声のする方を見ると蒼也が椅子に座って本を読んでいた

『……蒼也……ここ……』

「本部の医務室だ。熱がある。無理に動くな」

起こそうとしていた体を軽く押されてベットに戻る

「お前は馬鹿か。倒れるまで無理をして……」

『……ごめん……』

「まあ、いい。ゆっくり寝ていろ」

そう言って立ち上がった蒼也は私の頭を撫でると離れていった

『ま、って…!』

咄嗟に蒼也の袖を掴むと、蒼也は振り返った

「どうした?」

『もうちょっとだけ……一緒にいて……』

「……!わかった。お前が眠るまでここにいる」

『……ありがと……』

「ああ」

蒼也は椅子に座ると私の手を握った



「おやすみ、夏海」

ちゅっ

蒼也は私の額にキスを落とすとふ、と笑った

『………もうっ……熱上がっちゃうよぉ……』

「そのときは風邪をもらってやる」

『ダメだよ……。蒼也は風邪なんか引かないでね』

「……わかった。ほら、もう寝ろ」

『ん、おやすみ』

「おやすみ」

私は蒼也に手を握られながら眠りについた


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