第29章 技術力―――冬島慎次
*夢主は元戦闘員のエンジニアです
『ちょっと!慎次!麻雀なんてやってる場合じゃないでしょ!』
諏訪隊の作戦室に乗り込んできて怒鳴った彼女の夏海は俺を睨む
「夏海さん。どーしたんすか?」
『太刀川………あんたいたの。……じゃなくて!慎次!最近のイレギュラーゲートの解決策見つかってないのに私に仕事押し付けないでよ!』
「………俺は今忙しーの!」
俺は麻雀卓に視線を戻す
『どこがよ!ほら、さっさと来て!』
「おわっ!」
夏海は俺の腕を強引に引っ張る
椅子から転げ落ちそうになるがなんとか体勢を立て直した
「ん?冬島さんは夏海さんに仕事押し付けたんですよね?」
「おいおい、東。人聞き悪いこと言うなよ」
『そうだよ。このヤロー』
「じゃあ、今はその仕事誰がやってるんですか?」
「「「「……あ……」」」」
『そりゃあ、寺島に任せたから』
「「「「……………」」」」
「おい夏海。お前だって押し付けてんじゃねぇか!」
『何言ってるのよ!私はあんたを連れ戻すためにちょっと任せただけよ!』
「言葉いい風に変えてんじゃねーよ!」
「………つーか、二人ともこのままだと鬼怒田さんに怒られるんじゃないんすか?」
諏訪の言葉に二人が固まる
「お前のせいだからな!」
『どうして私なのよ!原因はあんたでしょ!』
「いやいや、少しはボーダーのために技術を提供してる俺に少しは休みをくれてもいいんじゃないの?」
『それなら、私だって技術力なら慎次に負けてないわ!
戦闘員から転属したのにチーフエンジニアになったのよ!?』
「……俺は隊の仕事もあって忙しいの」
『なら、さっさと来てさっさと終わらせればいいじゃない!』
「…………はぁ、じゃあ、充電」
そう言って夏海の後頭部に手を添えて引き寄せる
いきなりのことで反応できていない夏海の唇を塞いだ
『………んっ…………ちょっ………!』
俺から離れようとする夏海を押さえつけてキスを続ける
満足した俺が唇を離すと夏海は涙目で睨んでくるし、諏訪たちは呆然としていた